金属加工の基本を学ぶ:第5弾「鍛造」。強度を追求する製法の仕組みと活用シーン

はじめに        

第5弾となる今回の技術解説コラムでは、強靭な金属部品の代名詞ともいえる「鍛造(たんぞう)」を取り上げます。

これまで本シリーズでは、多種多様な製法をご紹介してきました。製品の用途や予算に合わせた最適な製法選びのヒントとして、ぜひ過去の記事もあわせてご覧ください。

第1弾:3Dプリンター(試作スピードを劇的に変える)
第2弾:砂型鋳物(大型部品のコストを抑える伝統技術)
第3弾:ダイカスト(圧倒的な量産スピードを誇る金技術)
第4弾:MIM(金属粉末射出成形:超精密・極小部品の量産)

鍛造(たんぞう)の特徴

鍛造とは、金属を叩いて圧力を加えることで、目的の形状に成形する製法です。鋳造が金属を溶かして型に流し込むのに対し、鍛造は固体のまま、あるいは熱して柔らかくした状態で圧力を加えます。

最大の特徴は、金属の結晶を整え、内部の空隙を押しつぶすことで、非常に高い強度と粘り強さ(靭性)を持たせられる点です。これを専門用語で「鍛流線(メタルフロー)」と呼び、大きな荷重がかかる重要保安部品には欠かせない製法となっています。

◆鍛造の製造工程

鍛造には、加熱して行う「熱間鍛造」と、常温で行う「冷間鍛造」がありますが、一般的な流れは以下の通りです。

①材料の切断・加熱
棒状や塊状の金属材料を必要な分量に切断し、熱間鍛造の場合は成形しやすい温度まで加熱します。

②荒成形(粗鍛造)
ハンマーやプレス機で大まかな形を作ります。

③仕上げ成形
精密な金型を用いて、最終的な形状に一気にプレスします。

④バリ取り
型の隙間からはみ出した余分な金属を除去します。

⑤熱処理・検査
硬度を調整するための熱処理を行い、探傷検査などで内部欠陥がないか確認します。

◆鍛造のメリット・デメリット

極めて高い信頼性を誇る鍛造ですが、設計時には以下の特性を考慮する必要があります。

【メリット】
①圧倒的な強度
メタルフローが途切れないため、鋳造や切削に比べて格段に強度が向上します。

②内部欠陥が少ない
圧力を加えることで内部の「巣」が押しつぶされ、組織が緻密になります。

③軽量化に貢献
強度が高いため、同じ荷重に耐える部品をより細く、薄く設計することが可能です。

【デメリット】
①形状自由度の制限
型で叩いて成形するため、複雑な中空構造や、アンダーカットのある形状は作れません。

②後加工の手間
ロストワックス鋳造などに比べると寸法精度が低く、多くの箇所で切削による仕上げ加工が必要になります。

③金型への負荷
固体を無理やり変形させるため、金型の摩耗が激しく、メンテナンスコストがかかります。

◆納品までの期間(リードタイム)

鍛造も専用の金型を使用するため、事前の準備期間を要します。

①金型製作
2ヶ月から4ヶ月程度。

②量産リードタイム
1ヶ月から。大規模なプレス設備を使用するため、生産ラインの空き状況によって前後します。

◆まとめ

鍛造は、自動車の足回りやエンジンのクランクシャフトなど、極限の強度が求められる比較的単純な形状の量産品に最適です。
一方で、以下のようなケースでは妙中鉱業が得意とするロストワックス鋳造が圧倒的に有利となります。

・複雑な三次元曲面や、内部に空洞がある形状を一体化したい場合
・切削加工を極限まで減らし、最終形状に近い状態で仕上げたい場合
・数百個単位の中量ロットで、鍛造用の重厚な金型を作るにはコストが合わない場合

特に、強度も必要だが形状が複雑で加工コストを抑えたいというジレンマがある場合、ロストワックスは非常にバランスの良い解決策となります。
鍛造品からの工法転換事例も豊富にございます。現在の製法に課題を感じている設計者様は、ぜひ一度妙中鉱業へご相談ください。貴社の製品に最適な工法をご提案いたします。