部品点数が増えていませんか?板金加工のメリット・デメリットとコスト削減のヒント

はじめに        

製法解説シリーズの第6弾は、
製造業において最もポピュラーな加工法の一つである「板金(ばんきん)」を取り上げます。

これまでのコラム(第1弾〜第5弾)を未読の方は、ぜひあわせてご覧ください。
それぞれの製法の強みを知ることで、設計の幅がさらに広がります。

第1弾:3Dプリンター(試作スピードを劇的に変える)
第2弾:砂型鋳物(大型部品のコストを抑える伝統技術)
第3弾:ダイカスト(圧倒的な量産スピードを誇る金型技術)
第4弾:MIM(金属粉末射出成形:超精密・極小部品の量産)
第5弾:鍛造(叩いて鍛える、強靭な金属部品の代名詞)

板金加工の特徴

板金加工とは、
平らな金属の板(鋼板など)に圧力を加え、切断したり曲げたりして目的の形状に成形する製法です。

最大の特徴は、
「金型なしでも製造可能(汎用金型を使用)」な点と、
「中空の箱形状や軽量な構造体」を作るのに非常に適している点です。

溶接と組み合わせることで、
大きな筐体から精密なブラケットまで、幅広い製品を生み出すことができます。

◆板金加工の製造工程

板金加工は、主に以下のステップで進められます。

①切断(ブランク加工)
レーザー加工機やパンチングマシンを使用して、展開図通りに板を切り出します。

②曲げ(ベンディング)
プレスブレーキなどの機械を使い、切り出した板をV字やL字に折り曲げます。

③接合(溶接)
複数の部品を組み合わせて、スポット溶接やアルゴン溶接などでつなぎ合わせます。

④表面処理
必要に応じて、バリ取り、塗装、メッキなどを行い、外観と耐食性を整えます。

◆板金加工のメリット・デメリット

汎用性が高い板金加工ですが、
鋳造(ロストワックス)などと比較すると、設計上の制約も見えてきます。

【メリット】
①イニシャルコストが低い
高価な専用金型を製作せずに加工できるため、試作や小ロット生産に最適です。

②材料の無駄が少ない
板から必要な分だけ切り出すため、大きな塊から削り出すよりも歩留まりが良いです。

③軽量かつ高剛性
薄い板を曲げたりリブを立てたりすることで、軽さと強さを両立した箱型構造が作れます。

【デメリット】
①形状の制約
板を曲げて作るため、複雑な三次元曲面や、厚みが場所によって異なる形状(肉厚変化)は作れません。

②工程数と管理工数
部品点数が増えると溶接箇所が多くなり、歪みの管理や検査の手間が増大します。

③強度の限界
溶接部は母材に比べて強度が不安定になりやすく、複雑な荷重がかかる部位には注意が必要です。

◆納品までの期間(リードタイム)

金型レスで加工できる場合、他の製法に比べて圧倒的に早くスタートできます。

①試作・小ロット
数日〜2週間程度。金型設計が不要なため、図面があればすぐに着手可能です。

②量産(専用金型を使用する場合)
1ヶ月〜2ヶ月程度。

◆まとめ:板金とロストワックスの境界線

板金加工は、「平らな板から構成される筐体や、薄肉で軽量なブラケット」に最適です。

一方で、以下のようなケースでは、ロストワックス鋳造への切り替え(工法転換)が非常に有効です。
・複数の板金パーツを溶接しているが、工程を一つにまとめてコストを下げたい
・溶接の歪みや外観のバラツキをなくし、品質を安定させたい
・板金では実現できない複雑な三次元形状や、局所的な厚肉・補強リブが必要な場合

特に、「溶接箇所が多く、製造管理が複雑になっている部品」は、
ロストワックスで一体化することで、強度向上とトータルコストダウンを同時に実現できる可能性が高いです。


「板金で作っているが、溶接の手間を減らしたい」「もっと立体的な形状にしたい」とお悩みの際は、ぜひ妙中鉱業へご相談ください。
板金と鋳造、それぞれの長所を活かした最適なご提案をいたします。