超複雑・超精密を量産する「MIM(金属粉末射出成形)」とは?特徴から納期まで徹底解説!
これまで本コラムでは、製造現場で欠かせない様々な製法をご紹介してきました。(未読の方は、ぜひこちらもあわせてご覧ください!)
【第1弾】3Dプリンター:試作のスピードを劇的に変える
【第2弾】砂型鋳物:大型部品のコストを抑える伝統技術
【第3弾】ダイカスト:圧倒的な量産スピードを誇る金型技術
◆MIM(金属粉末射出成形)の特徴
MIM(ミム)とは「Metal Injection Molding」の略称です。 一言で言えば、「金属粉末と樹脂を混ぜ合わせ、プラスチック成形機のように金型へ射出する」製法です。
「ダイカスト」が溶けた液体金属を流し込むのに対し、MIMは粘土のような状態の材料を詰め込み、後から焼き固めるのが大きな違いです。
これにより、他の製法では不可能なほど「小さく、薄く、極めて複雑な形状」を高精度に量産することが可能になります。
◆MIMの製造工程
MIMは、大きく分けて4つのステップで製造されます。
①混練(こんれん)
微細な金属粉末と、バインダーと呼ばれる樹脂・ワックスを混ぜ合わせ、専用の材料(ペレット)を作ります。
②成形(射出成形)
プラスチック成形機を使い、金型へ射出します。この時点の製品は「グリーン体」と呼ばれ、まだ脆い状態です。
③脱脂(だっし)
加熱や溶剤によって、材料に含まれていたバインダー(樹脂分)を取り除きます。
④焼結(しょうけつ)
融点以下の高温で焼き固めます。この際、隙間が埋まるため、製品は設計寸法より約20%ほど収縮して緻密な金属体となります。
◆MIMのメリット・デメリット
極小精密部品に強いMIMですが、採用の分かれ道はどこにあるのでしょうか。
【メリット】
①圧倒的な形状自由度
プラスチック成形に近い感覚で、三次元の複雑形状や薄肉形状(1mm以下)を一体成形できます。
②高精度・高密度
焼結によって非常に高い密度が得られ、強度は切削材に匹敵します。
③仕上げ工程の削減
そのまま最終製品に近い形状(ニアネットシェイプ)で出来上がるため、二次加工を大幅に減らせます。
【デメリット】
①サイズの制限
焼結時の収縮が大きいため、大型部品(手のひらサイズ以上)は変形しやすく、製造が困難です。
②材料費と金型代
金属粉末は高価であり、また精密な金型が必要なため、中〜大量生産でないとコストメリットが出にくいです。
◆納品までの期間(リードタイム)
MIMも「金型」を使用するため、事前の準備が必要です。
①金型製作
1.5ヶ月〜2.5ヶ月程度
②量産リードタイム
1ヶ月〜
射出自体は早いですが、その後の「脱脂」と「焼結」に数日間を要するため、ダイカストほど短時間で次々と完成するわけではありません。
◆まとめ:MIMとロストワックスの境界線
MIMは、「10円玉サイズ以下の非常に小さく複雑な金属部品を、数千個単位で作りたい」場合に最強のパフォーマンスを発揮します。
一方で、以下のような場合は、ロストワックス鋳造が適しています。
「手のひらサイズ以上の、ある程度の大きさがある部品」
「数百個〜数千個の中規模ロットで、金型コストを抑えたい」
「ステンレスなどの難削材を使用しつつ、高い強度を持たせたい」
特に、大型かつ高精度なステンレス部品については、MIMでは対応できず、ロストワックスが唯一の選択肢となることも少なくありません。
「この精密部品、MIMとロストワックス、どちらが安くて確実?」 そんな疑問をお持ちの設計者様は、ぜひ妙中鉱業へご相談ください。材質やサイズ、ロット数から最適な答えを導き出します。

